2013-12-22

テクトロのナット軸組み替え/全バラオーバーホールはやめた方がいい?

旧式のナット留めブレーキをデュアルピボット化する際の手法として、テクトロ800A等の一般車向けブレーキのナット軸を流用して組み替える方法を紹介していました。実際に自分ではやっていないまま情報が広まってしまいましたが、先日Tektro R510のオーバーホールをした時に(その直後盗難に遭いました…)Tektroキャリパーは「メインの軸を抜き取る毎にネジ山を破壊してしまう危険が高い」という問題を抱えていることを再認識するに至り、注意喚起も含めて記事にしておきます。全バラでのオーバーホールを含め、ナット軸組み替えもあまりオススメではないかもしれません。

どういうことかというと、この取り付け軸は使用中に緩まないように回り留めのイモねじで固定されているのですが、イモねじの先端がねじ山を潰して食い込ませる構造になっていて、製造時に軸のねじ山が潰されたが最後、軸を抜き取る際には潰れたねじ山に削られてアルミの切りくずを出してしまう、というものです。

元ネタとなったサイト「The Headbadge」、カートさんの記事
"Converting a Tektro R556 front brake to nutted mounting / Tektro dual-pivot disassembly"
問題はこちらでも指摘されています。ちなみに最初にバネを取り外されていますが、この手順は危険なので、13mmのナットを外してからバネを取り外すほうが良いです。

R510では抜き取ったネジ山が、取り付けの際に再びアルミの雌ねじを傷めないように潰れた部分をヤスリで削って対処しましたが、あまり気持ちの良いものではありませんでした。

分解用のテクトロR350
テクトロのR350
では写真解説です。ブラインドナット目当てに入手した、テクトロR350さんにご登場いただきます。
この個体は入手時には主軸ジョイントが緩んでガタが出ていたり、一方の第2ピボットは動きが渋くなっていました。おそらく使用中の緩みだと想像します。

ピボット軸のネジ山つぶれ
第2軸分解
第2ピボット軸を抜き取ったところです。潰れたネジ山のせいで削り屑が出ています。CアームとYアームをつなぐ間のパーツの、Yアーム取付部側ピボットです…。


回りどめイモねじ
ネジ山破壊の元凶、回りどめのイモねじ
主軸の回り留めに使われているイモねじです。先端が軸のスレッド部に食い込んで固定する仕組みです。

主軸ネジ山
主軸ネジ山。この個体はネジ山潰れが軽微
幸い主軸からは削り粉は出てきませんでした。この個体の主軸への食い込みは最小限にとどまっていたものの、主軸側の緩みの原因だったのかもしれません。

個体差もありますが、軸を抜き取るまではイモネジの食い込み具合を知る術がありませんので、結局のところ軸組み替えにしても、オーバーホールにしても、軸を抜き取らないほうが無難なようです。

テクトロ擁護派の私ですが、デュアルピボットキャリパーブレーキは、各ジョイントが緩みやガタが無い状態でスムーズに動くという状態をいかに維持するかに掛かっているのだと思います。このあたりは次の記事にて。

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