2010-10-31

エアロブレーキレバー

コマンドシフターをドロップハンドルに取り付けた場合、ケーブルをハンドルバーに沿わせてバーテープで巻く、いわゆるハンドル内蔵式にすることができます。

シマノのSTIでは長らくシフトケーブルがハンドルの内側に露出する方式が続きましたが、2010年の5700系への更新で、7900,6700,5700までの上位3種の10速グループセットシリーズ用のSTIがシフトケーブル内蔵式になりました。カンパニョーロは従来からブレーキワイヤー、シフトケーブルともに内蔵式だったので、2本のケーブルを沿わせられるようにハンドルバー内側にブレーキワイヤー溝、外側にシフトワイヤー溝が配された「ダブル溝」のハンドルバーが各社から用意されています。これを使ってコマンドに最適なハンドルバー構成ができるのでは、という知恵をいただきました。

コマンドシフターではシフトケーブルのアウター受けがハンドル内側に位置する関係から、そのままではシフトケーブル用に外側に用意された溝を利用することができません。内側の溝をシフトケーブル用に使い、ブレーキアウターを外側の溝に沿わせるには、エアロレバーのケーブルアウター位置の関係からブレーキレバーを左右逆に入れ替えるなどの工夫が必要なようです。エイドアーム(補助ブレーキ)の設置はできなくなりますが、ハンドルまわりはすっきりまとまるでしょう。


現行のエアロブレーキレバーをまとめてみました。エアロブレーキレバーはシマノ、ダイアコンペ、テクトロの順にブラケットが太くなっているらしく、STIに慣れた向きにはテクトロかC-STARが良いかも知れませんがスタイル面がトレードオフになります。

シマノ
  • BL-R600 ダイキャストブラケット
  • BL-R400
ちなみに79DURA以降のブレーキアーチ(BR-7900, BR-6700, BR-5700)は新レバー比に刷新されていて、今のところ新レバー比対応のSTIでしか引けないようになっています。新レバー比アーチ対応のエアロブレーキも用意してほしいところです。シマノがやるとしたら、ケーブルの通し穴の位置で新旧レバー比に対応できるレバーができそうな気がします。


ダイアコンペ
  • 287 ダイキャストブラケット 260g
  • BL100 樹脂ブラケット 220g
  • BL07 ダイキャストブラケット 244g
BL07の白ペイント版と思われるレバーがRADACに標準装備されていました。

テクトロ
  • R100A (女性用) 260g
  • R200A 260g
  • RL340
  • RL341 (女性用)

R100A/R200Aはカンパ風。ブラケットは太めでSTI向けのハンドルバーでフィットするように設計されています。(テクトロ以外のエアロレバーはほぼSTI以前の設計)
最近RL340/RL341に置き換わったようです。


Chang Star  (Chang Star, Zhang Star, Radius, シースター, チャンスター)
  • RA-208A 
「張星(?!)」大陸式台湾式ピンインの違いで拠点ごとに表記が分かれています。
RA-208AはTektro R200Aソックリです。


    Vブレーキ用は3種類が確認できます。TEKTROがまだ買えるかどうかは不明です。
    • TEKTRO RL520
    • Cane Creek Drop V Levers (OEM元はTektro?)
    • ダイアコンペ287V

      2010-10-27

      プロ中のプロからのご協力

      神佑天助と云いましょうか、非常に幸運なことに当ブログ子すなわちワタクシメは、走る事はもちろん車体そのものやパーツ、ウェアーに至るまで幅広く深い見識をお持ちの自転車のプロフェッショナルからテストライダーとしてアドバイスを戴くことになりました。自転車に深く関わる、自転車そのものともいえる業務を中心とされている傍らオリジナルウェアーブランド展開、さらには自転車メーカーのアドバイザーにとご活躍の方です。

      シンプルで耐久性の高いコマンドはデュアルコントロールレバーに比べ衝撃を受けにくい設置位置や単純な内部機構などから、操作性に劣ることがあったとしても信頼性においては断然有利なので、レーシングパーツになり得なくても、利益を生み出すために欠かせない信頼性を具えた理想的な生産財としての側面を持っているのではないかと想像していました。昨夕お伺いする機会を得てお話を聞くと、やはりバイクメッセンジャーの車両でピストよりも多数を占めるロードバイクではデュアルコントロールレバーの耐久性の問題、衝撃を免れない設置位置などで故障する運命にあり、かなりの割合でダブルレバー使用率が高いということです。

      新たな問題点が見えてくるかもしれませんが、先鋭的な性能はなくても単純でプリミティブ、堅牢で信頼性に富むプロフェッショナルの道具としての可能性が再発見されるかもしれないと思うととても楽しみです。

      2010-10-24

      サムシフター&ダブルレバー

      コマンドシフターのSIS10速インデックス化の検証用に用意したXC Proサムシフター、10速化して3週間を過ごし改めて使いやすさと操作フィールの良さに感じ入っています。サムシフターは9速以上への多段化が進む前に廃れてしまったものですが、数段飛ばしで一気に変速できたりレバーの感触でどのギアに入っているかが把握できる良さは9速、10速の時代に見直されていいと思います。ラピッドファイアーはトリガー式ゆえに悪路による振動下でも確実にシフトができる点で優れますが、ロードではレバー操作がおぼつかなくなることもありませんので。


      フリクションでの変速こそが真のシフティングだと主張する硬派な古参ユーザーがこぞって絶賛するサンツアーのXC Proサムシフター。堅牢さは防弾防爆仕様の一生モノとも評されています。


      コマンドシフターほどではないにしても、やはりXCシリーズのサムシフターは入手性に難があります。同じ方法で10速化したGPXダブルレバーですが、こちらはダブルレバーをサムシフター化できる台座と組み合わせて使おうかと考えています。PaulサミーズのほかにDIXNAのレバーハンドルマウントがあり、後者は左右別々に販売されているので助かります。

      左側の1055レバー(7s)もレバーハンドルマウントでサムシフター化して7sのラピッドファイアーと取り替える予定です。

      2010-10-22

      サンツアーコマンドシフター、GPXレバーのリング組み換え






      7/8速タイプは樹脂パーツの形状のせいか例の怪現象が発生。サムシフターだと7/8速でもこの問題が発生しないので、コマンド最終型7/8速(もしくは最終型全般)特有の問題です。干渉する部分を削れば解決しますが、とりあえず7s用の樹脂キャップとセレクタパーツを組み合わせて10s化を完了させました。




      レバーはトップの位置(この状態でレバーを右に回して止まる位置)でメンテナンスをするようにしています。
      ワイヤーのアウター受けが手前に来るように配置すると、トップの位置でレバーが時計に例えると11時15分を指すようなポジションになります。角ばったレバー形状の初期モデルのコマンドシフターだと9時20分です。




      インデックス溝と勘合する鋼球は12時と6時の位置に。球受けプレートは6/7速時代に4つ鋼球が使用されていた時の名残りで左右にも穴があり、○の刻印が9時位置に来るように配置します。


       10sのインデックスリングを装着。十字のスプラインは幅が変えてありますので、表裏さえ判別できれば間違いなく取り付けられます。


       大きいほうのプラキャップを球押さえと勘合させて押さえ込みます。
      セレーションの形状に合うように注意しながら最後にインデックス/フリクションセレクタの樹脂部品を被せてスナップリングで留めれば完成です。

      ついでに手持ちのサンツアーのGPXダブルレバーも10s化してしまいました…。もともと鋼球が4つある6/7速用のシフターなので2つに間引いています。Accushift対応ならシュパーブプロのダブルレバーでも同様の改造ができるはずです。

      今日は半徹明けなので早めに寝ます。


      (2010.10.23)
      80年代末以降のGPX、SL、RADIUS、EDGEなどのダブルレバーやサンツアーのバーコンでもアキューシフトに対応していれば同様のSIS10速化ができます。実際にダウンチューブに装着していませんので可動角度に制約があるかもしれません。


      (2010.11.15)
      Accushiftに対応していても、フリクションとインデックスがセレクタレバー式になっているものは構造が異なります。樹脂製のエントリグレード向け製品のレバーや、ウィッシュボーンシフターが該当します。

      2010-10-16

      念のため12-27Tで確認

      位相分布のファクターを加味して完成させたコマンドシフター/XCサムシフター用の10sインデックスリングは、インナーとアウターで各速の変速もスムーズでトルクをかけても問題なく動作しています。ストップ&ゴーが多い街乗りでクロスレシオのコグセットを使っていると3-4段一気にシフトアップしたい場面がありますが、難なくこなせるサムシフターの良さを実感しました。

      今日は12T-25Tのスプロケットをつけていた35cのブロックタイヤを履いていたものを、検証のためにホイールをごと12-27Tスプロケットがついた23cのタイヤに戻します。こちらでも問題ないことを確認できました。

      ダブルレバーでチェーン落ちしていたフロントは、XC Proの左レバーで引けるようにした上で再調整をして普通に使えるようになりました。



      (2010.10.19)
      ちなみにフロントはFSA(OEM)のコンパクトクランク50-34Tを使ってまして、インナートップ、アウターローのたすき掛けを含めて歯飛びやシフトのもたつきもなくキッチリ変速しています。何よりもシフトフィールが良いので変速が楽しいです。

      2010-10-14

      10sインデックスリングをプチ量産



      以前量産していたブランクリングで手作業にて20本ほどプチ量産しました。


      Suntour Superbe Pro RD(7s)の試着に記念撮影。7s用でプーリーが厚いせいか、プーリーケージがスポークに当たってしまいました。8s用なら10s「シマツアー」が実現という話もありますので試作インデックスリングのテスター様に期待しています。
      端整な機能美に満ちたシュパーブプロを付けて走りたいのですが、写真だけ撮ってRD-5600に戻しました。

      ご協力いただけるテスターをさらに2名ほど募集します。(募集終了しました。ありがとうございます!!)
      ・コマンドシフターのヘビーユーザー
      ・すぐに10s化してテストするための準備(パーツ類)がある
      ・荒川CR/江戸川CRを走ってる
      上記のどれかに該当される方だとうれしいです。
      テストご希望の方はコメント欄に連絡先メールアドレスを入れて連絡ください。
      (コメント欄はこちらで公開の操作をしない限り公開されませんのでご安心ください)

      2010-10-11

      シマノ10s対応サムシフター

      コマンドシフターのシマノ10速対応化のために、内部が同じ構造のXCサムシフターを使って10sインデックスを完成させたのですが、トリガー式のシフターの普及に新製品が出ることがなかったサムシフターは8速止まりで進化を止めてしまったため実現しているケースが少ないようです。9sや10sで使いたい向きの代替手段として、シマノのバーエンドコントローラをPaul Component EngineeringのThumbiesという台座と組み合わせて違和感なくサムシフター化する方法があるようです。

      正直なところ廃れてしまった方式であるサムシフターの操作感は期待していなかったのですが、なかなか小気味よく変速できて気に入りました。シフトダウン時のレバーの押し込みはちょっと重めですが、シフトアップは人差し指で軽く引っ掛けるか、トップ付近では人差し指付け根の内側でパチンと弾くだけ。10速インデックス化していてもレバー位置の感触でどのギアに入っているのかがわかりやすくて便利です。


      Suntour XC Pro 以外にも、おそらく下記のシフターと互換性があるはずです。
      Suntour XC Expert
      Suntour XC LTD
      Suntour XC Comp

      以前紹介したレビューサイトによると、耐久性とフリクションモード、軽さで神シフター的に絶賛されていますが、今年になってIRDから9速/フリクションのサムシフターがIRD XC-Proの名前で(いいのか?)発売されています。見た目は全くの別物ですが9sでXC Proサムシフターの再現を目指したものだと思います。お値段は$159.00だそうです。

      2010-10-10

      再び10s化パーツ

      今週になって6月末から中断していたリング作りを再開しました。思い切って前に作業していたデータを捨ててゼロベースで作り直してみると、妙案だと思い込んでいた手法が使えない事が発覚。それでも地道に作業を続けた結果、最小限のレバーストロークで従来よりも10sシンクロが決まるようになりました。当初、ワイヤーの巻き取り角度の関係でイレギュラーな位相があると考え、係数をかけただけでは解決しないと思い込んでいましたが、実は最初に求めた割り出し角度とほぼ同じでした。なんとも無用な回り道をしたものです。

      再び実証を経てテストランに出そうと思いますが、今度は材料で悩みそうです。

      フラットバーレイダックのほうはステムを換えてシフトアウターを短くして、グリップやシフターの角度を変更。1週間前の写真はヒドくメチャクチャな取り付けです…。

      2010-10-05

      フロントも手元シフトで

      フラットバーレイダックは長いステムに交換してひとまず快適になりました。
      左シフトレバーもダブルレバーからXC Proシフターで手元シフトできるように。でも調整があまいのか、部品構成のせいか(使っているクランクは変速性能がよろしくなく、安値で放出されます)フロントシフトでチェーン脱落しまくりです。

      XC Proサムシフターにして良かったのは、クリックリング部品がとってもラクに組み換えができるところです。クリックリング交換のたびにシフトケーブルを抜いたり通したりが必要だった1世代目のコマンドに比べて10s化の検証作業が加速することでしょう。

      きょうは散逸気味だったデータを整理して、久々にリングを作ってみました。

      2010-10-03

      XC Proシフター (indexed for Shimano SIS 10 speed)

      コマンド用のパーツで10s化したXC Proサムシフターを付けたレイダックで軽く散歩してきました。

      XC Proによる10sインデックスの操作感は思った以上。最初はレバー操作の力加減が掴み難かったのですが、すぐに思い通りにシフト操作ができるように。クリックリングは3s付近がちょっと曖昧な個体を入れてしまいましたので再度作り直します。


      ハンドル周りはなんだかモサっとしたイメージ。
      左だけダウンチューブのダブルレバーで操作してみましたが、コンパクトクランクは思いのほかフロントシフトチェンジ頻度が高いのでやっぱり手元シフトに変更します。




      ラクに乗れるようにするつもりが、却ってヘンなポジションに…。あとでステムを長いものに換えます。ちなみに良質なレイダックの供給地(?)ネットオークションウォッチャーにはおなじみの場所です。